Introduction to Aromatherapy
香りの科学
- 知れば差がつく、香りと脳のサイエンス Fragrance and Brain Science
- 古代より、神聖な儀式や、医学・美容の分野で
幅広く生かされてきた「香り」。
香りが脳に与える影響を、科学でひもといてみれば…?
「嗅覚」、それはもっとも
原始的・本能的な感覚器官。
ある特定の香りで昔の記憶がよみがえったり、心が安らいだり、反対に嫌悪感を感じたり。「嗅覚」は五感の中で最も原始的な感覚器官といわれています。香りは鼻腔の奥で信号に変換され、瞬時に脳(大脳辺縁系)へ伝わります。痛みが脳に伝わる速さが0.9秒なのに対し、香りの刺激が脳に伝わる速さはなんと0.2秒以下。大脳辺縁系は、記憶や感情、本能行動をつかさどるため、食欲、性欲、睡眠欲や、喜怒哀楽などの情動は、香りの影響を受けやすいといえるのです。
自律神経系やホルモン分泌にも
働きかける香りの力。
また嗅覚は、大脳辺縁系と神経同士が密に連携しあっている「視床下部」にも影響を与えます。視床下部は、自律神経系や免疫系、内分泌系(ホルモン)の調節をつかさどる部分。免疫を高めてウイルスや細菌への抵抗力をもたらしたり、血液やリンパの流れを促したり、内臓の働きを向上させるなどといったアロマテラピーの効果は、このような理論によるものであり、すでにヨーロッパでは医療現場でも活用されています。
アロマの香りによる
疲労軽減効果を検証してみると…
アロマの香りは疲労・ストレスのマネジメントにどのような影響力を持つのか。ミスターアロマが「サクセス」の香りをサンプルとし、疲労科学研究所協力のもと実験を行ったところ、「自律神経機能が改善され、リラックス状態になることで、精神的・身体的ストレスが和らぎ、思考力低下が改善される」という傾向が明らかになりました。
- 香りを嗅ぐことで
有意な改善傾向が見られた項目 -
- 疲労感・倦怠感の緩和
- 緊張状態の緩和
- 思考力の低下の改善
- 自律神経全体の働き
- 不安感・恐怖感の緩和
- イライラ・怒りの緩和
- 眠りやすさ
- 【実験方法】
- 40~60歳の男性10人(平均年齢48.8歳)を対象に、「サクセス」の香りを嗅ぐ前と嗅いだ後で、
A.11項目の自覚的疲労度(※注①)B.自律神経機能の働き(※注②)がどう変化するかを測定し比較しました。
※注① | 11項目は以下のとおり。 精神的ストレスの程度/身体的ストレスの程度/疲労・倦怠感/抑うつ状態/意欲・活力/不安感・恐怖感/緊張状態/ イライラ感・怒り/思考力低下/筋肉痛・関節痛などの全身の痛みの程度/眠りやすさの程度 |
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※注② | 安静時の心拍を測定し、最大エントロピー法を用いた心拍変動解析にて評価。 |
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大きく左右するのも、香り。 - 体臭によって周囲を不快にさせる「スメルハラスメント」、知らないうちにあなたも加害者になっていませんか? とくに女性は男性よりも嗅覚が鋭く、相手に対して抱く印象に、ニオイが大きな影響を与える傾向があります。最新の研究(※)によれば、 鼻腔が受容した香りの情報を処理する「嗅球」の細胞数は、女性の方が男性に比べて平均43%も多く、 ニューロン(神経細胞)も女性の方が約50%も多いことが判明したとか。 女性による「好き・嫌い」という本能レベルでの判断を左右してしまう「香り」。
うまく使いこなして、対人関係の向上にも役立てたいものです。 - ※ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学生物科学研究所による研究結果